こんにちは。KOUです^^
薄暗い部屋で、椅子に掛けてあった上着を人影だと思い、ドキッとしたことはありませんか。明かりをつけた瞬間、「なんだ、上着か」と気づく。
目に入ったものは同じなのに、見え方が変わる。こうした出来事を考えるうえで面白いのが、認知科学の「予測処理」という考え方です。
今日は、脳がどのように現実を受け取っているのかを研究から見ていきます。そのうえで、私が教えている情報空間や氣幸と、どこで話がつながり、どこから別の話になるのかもお伝えします。
予測処理とは?脳は経験をもとに次を予測する
予測処理(Predictive Processing)とは、脳が過去の経験や周囲の状況を手がかりに、これから入ってくる感覚情報を予測し、実際の情報との違いを利用して知覚を調整する、という理論的な枠組みです。
私たちは、目から入った映像をカメラのようにそのまま受け取っていると思いがちです。でも、脳が「これは何だろう」と判断するときには、それまでに知っていることも関わっています。
1999年、RaoとBallardは、視覚野の上位から下位へ予測が送られ、下位から上位へは予測と入力のずれが伝わるという計算モデルを発表しました。これは脳の働きを説明するモデルであり、すべての知覚が一つの仕組みで解明されたという意味ではありません。
先ほどの上着の例を思い出してみてください。暗くて情報が足りないとき、脳は過去の経験を使って「人がいるかもしれない」と解釈する。明かりがついて情報が増えると、その解釈を改めます。
予測は、実際の「見え方」にも関わっている
ここで興味深い研究を一つ紹介します。
Kokらが2012年に発表した研究では、人が見ようとしているものへの期待があると、一次視覚野(V1)の活動の大きさは低下する一方、脳活動のパターンから読み取れる視覚情報の表現は、より明瞭になりました。研究ではfMRIと脳活動パターンの分析が使われています。
つまり、予測があると脳は単純に強く反応するのではなく、情報の扱い方そのものが変わりうるのです。ここが面白いところだと思います。

写真の光と影も、どこに目を向けるかで印象が変わります。ただし、この写真自体が上記の研究で使われた刺激というわけではありません。
予測が外れたとき、脳は何をしているのか
予測処理では、予測と実際の感覚情報とのずれを「予測誤差」と呼びます。
例えば、駅で知人によく似た後ろ姿を見かけて声を掛けようとしたのに、振り向いたら別人だったとします。その瞬間、最初の見立てを修正しますよね。
予測が外れることは、単なる失敗ではありません。新しい情報を受け取って、次の判断を変えるきっかけにもなるのです。
① 経験・状況
これまでに知っていることを手がかりにする
② 予測
次に何が見えるか、仮の見立てを立てる
③ 感覚情報と照合
入ってきた情報とのずれを捉える
④ 予測を更新
必要に応じて解釈を調整する
※実際の脳内処理は双方向で進むと考えられています。図は理解のために簡略化したものです。
「自分には無理だ」という予測に気づいたら
ここからは、日常の話に置き換えてみましょう。
新しい仕事の募集を見て、「自分にはできない」と即座に感じたとします。その判断には、現在の能力だけでなく、以前の失敗や周囲から言われてきた言葉が影響しているかもしれません。
もちろん、脳の予測処理だけで人生の選択が決まるわけではありません。ただ、目の前の状況を見ているつもりで、過去の経験を通した見立てを事実だと思い込んでいないか、確かめる価値はあります。
「できない」と感じたときに、いきなり自分を励ます必要はありません。まず、その判断の根拠は何なのか。今の事実なのか、それとも以前の経験から生まれた予測なのか。そこを分けてみるのです。
私が伝える情報空間と、予測処理の違い
私は氣幸の講座で、情報空間の書き換えや「場の移動」を教えています。予測処理の研究は、私たちが経験する世界を考えるうえで参考になりますが、氣幸の理論を脳の予測だけで説明しようとは考えていません。
氣幸には「一人一宇宙」という考え方があります。一人ひとりが自分の宇宙を持ち、その宇宙同士は重なり合わず、一点で接している。その接点が物理空間だと捉えます。
さらに、自分の宇宙には「次元の階層」があり、「場の移動」はその階層を移動することを指します。単に気分を変えたり、同じ出来事を前向きに解釈したりすることとは違います。
「場の移動」や一人一宇宙の基本を知りたい方は、情報空間の書き換えとは?「一人一宇宙」と「場の移動」の仕組みも読んでみてください。
見慣れた現実を、もう一度観察してみる
今日は、いつもなら見過ごしてしまう出来事を一つだけ振り返ってみてください。
例えば、誰かの言葉を聞いて嫌な気持ちになった場面があったとします。相手が実際に言ったことと、自分がそこから読み取った意味を、頭の中で分けてみる。
同じ言葉でも、別の受け取り方が見つかるかもしれません。そこで新しい事実が見えたなら、最初の予測を修正する材料になります。
そして、人生をどこへ向けたいかという話になれば、私はゴール設定も大切にしています。未来のゴールについては、現状の外側のゴールとは?で詳しくお話ししました。
あなたが当たり前だと思っている現実は、どこまでが事実で、どこからがこれまでの経験による見立てなのでしょう。そんな視点を持つだけでも、日々の出来事の読み取り方は変わってきます。
情報空間や氣幸を学びたい方へ
このブログでは、認知科学の研究と、私が伝えている氣幸の理論を、それぞれの位置づけがわかるようにお伝えしていきます。
情報空間の書き換え、ゴール達成、ヒーリング、浄化といった分野のうち、どこから学びたいか考えている方には、無料の氣幸診断もご用意しています。今の関心を整理するきっかけにしてみてください^^
参考にした研究
Rao, R. P. N. / Ballard, D. H. (1999). Predictive coding in the visual cortex: a functional interpretation of some extra-classical receptive-field effects. Nature Neuroscience, 2, 79–87. 論文を読む(DOI)
Kok, P. / Jehee, J. F. M. / de Lange, F. P. (2012). Less is more: expectation sharpens representations in the primary visual cortex. Neuron, 75(2), 265–270. 論文を読む(DOI)
Clark, A. (2013). Whatever next? Predictive brains, situated agents, and the future of cognitive science. Behavioral and Brain Sciences, 36(3), 181–204. 論文を読む(DOI)

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