こんにちは。KOUです^^
「私は人前で話すのが苦手だ」と思っている人が、たった一度言葉に詰まった場面を何度も思い返す。一方、うまく話せた日は「たまたま調子がよかっただけ」と片づけてしまう。
同じ自分の経験なのに、なぜ受け取り方が変わるのでしょう。
その仕組みを考えるとき、認知心理学の「確証バイアス」が参考になります。私はゴール設定を教えるうえでも、この考え方を知っておく価値があると思っています。
確証バイアスとは?わかりやすく説明
確証バイアスとは、すでに持っている考えや予想を支持する情報を重視し、反対する情報を十分に検討しにくくなる傾向を指します。
例えば、「自分は新しいことを始めても続かない」と考えているとします。途中でやめた経験はすぐ思い出せても、続けられた経験は「例外」として扱う。こうして、最初の思い込みが強まる場合があります。
大切なのは、思い込みがある人だけに起きる特殊な問題ではないということです。自分なりに筋の通った理由を考えているときにも、情報の選び方は偏り得ます。
1960年の実験:人は自分の予想をどう確かめるのか
心理学者ピーター・ウェイソンは1960年、数字の並びに隠された規則を推測する課題を使い、人が仮説を検証するときの行動を調べました。
参加者は「2・4・6」という例を示され、自分で別の数字の組み合わせを提案して、規則に当てはまるかどうかの返答を受けます。正しい規則は「右に行くほど数字が大きくなる」という広いものでした。
ところが、参加者の中には「2ずつ増える」など、より狭い規則を想定し、それに合う組み合わせばかりを試す人がいました。
論文では、29人中6人が誤った規則を述べることなく正解に到達したと報告されています。この数字を「残り23人全員が確証バイアスだった」と読み替えるのは正確ではありません。研究が示しているのは、仮説を否定できる例を試すことの難しさです。
原著論文:Wason(1960)On the Failure to Eliminate Hypotheses in a Conceptual Task。

同じ資料を読んでも、意見がさらに分かれることがある
1979年、ロード、ロス、レッパーは、死刑制度について賛成・反対の立場を持つ大学生48人を対象に実験を行いました。
参加者は、自分の立場を支持するように見える研究と、反対するように見える研究を検討しました。その結果、自分の考えに合う研究のほうを説得力があると評価する傾向が見られ、両陣営の意見の隔たりが広がりました。
ここで見逃したくないのは、「反対の証拠に触れれば、必ず考えが変わる」とは限らないことです。情報の量を増やすだけでは、すでにある結論を補強する場合もあります。
原著論文:Lord・Ross・Lepper(1979)Biased Assimilation and Attitude Polarization。
「やっぱりそうだ」と受け入れやすい
「その証拠は本当か」と厳しく見やすい
※研究の考え方を説明するための概念図です。数値や因果関係を測定した図ではありません。
確証バイアスは、いつも悪いものなのか
「自分の予想に合う事例を調べる」という方法自体が、いつも間違いとは限りません。
クレイマンとハーは1987年の理論論文で、仮説に合う事例を優先して調べる「ポジティブ・テスト戦略」が、条件によっては有効である一方、誤りや非効率を生む場合もあると論じました。
つまり、「自分の考えを確かめようとすること」を全部否定する必要はありません。重要なのは、その調べ方で本当に別の可能性を区別できるかどうかです。
理論論文:Klayman・Ha(1987)Confirmation, Disconfirmation, and Information in Hypothesis Testing。
ゴール設定で気をつけたい「今の自分を証拠にする」習慣
私は、ゴールは現状の外側に設定することを大切にしています。今の実績や周囲の評価だけから未来を決めると、選べる未来まで現在の延長線上に収まってしまうからです。
例えば、新しい仕事に挑戦したいのに、「これまで経験がないから無理だ」と考える人がいます。その人は、挑戦できない理由をいくつも集めるかもしれません。
ここで私が伝えたいのは、反対の情報を無視して強引に自信を持とう、ということではありません。今の能力に関する事実は確認しながら、それを未来の限界と決めつけないことです。
現状の外側のゴールを決める考え方は、「現状の外側のゴールとは?」でも解説しています。
思い込みを確かめるための実践
まず、自分について当たり前だと思っている考えを、一文で書いてみてください。「私は人に説明するのが苦手だ」というような言葉で十分です。
次に、その考えを支えている出来事を思い出します。そして、同じくらい真剣に、反対の出来事を探します。
うまく説明できなかった日の記憶だけでなく、相手が理解してくれた日のことも確認する。どちらか一方に都合のいい基準を使っていないか、見直してみるのです。
それでも「苦手だ」という結論が残るなら、何が不足しているのかを具体的に調べればいい。漠然とした自己評価より、次の行動が決めやすくなります。

スコトーマや情報空間の「場の移動」とはどう違う?
確証バイアスは、情報の探索や評価が偏るという認知心理学の概念です。関連する「見えているはずのものを見落とす」という話は、スコトーマについての記事で取り上げています。
ただし、氣幸で扱う情報空間や「場の移動」を、確証バイアスの修正だけで説明するつもりはありません。
私が教える「一人一宇宙」では、それぞれの宇宙は重ならず、一点で接し、その接点が物理空間だと捉えます。場の移動は、その人の宇宙にある「次元の階層」を移動するという考え方です。単に考え方を前向きにすることとは区別しています。
この理論の基本は、「情報空間の書き換えとは?」で詳しく説明しています。
未来の可能性を、過去の証拠だけで閉じない
思い込みに気づくことは、自分を否定することではありません。むしろ、今までの結論をいったん点検して、未来に向けた選択を増やすための作業です。
私は、過去の経験だけで未来の可能性を狭めてほしくありません。まだ経験していないことは、過去のデータには載っていないのです。
情報空間やゴール設定、氣幸の学びに関心がある方は、無料の氣幸診断も活用してみてください。学びたい方向を整理するきっかけになります^^
参考文献(一次資料)
Wason, P. C. (1960). On the Failure to Eliminate Hypotheses in a Conceptual Task. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 12(3), 129–140. DOI: 10.1080/17470216008416717
Lord, C. G., Ross, L., & Lepper, M. R. (1979). Biased Assimilation and Attitude Polarization: The Effects of Prior Theories on Subsequently Considered Evidence. Journal of Personality and Social Psychology, 37(11), 2098–2109. DOI: 10.1037/0022-3514.37.11.2098
Klayman, J., & Ha, Y.-w. (1987). Confirmation, Disconfirmation, and Information in Hypothesis Testing. Psychological Review, 94(2), 211–228. DOI: 10.1037/0033-295X.94.2.211


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