習慣が変わらないのは意志の弱さ?環境と行動の関係を認知科学から解説

ノートや本を置いた朝の作業机。習慣づくりの環境を表す写真 認知科学

こんにちは。KOUです^^

「明日からは変わろう」と決めたのに、気づけば昨日と同じことをしている。そんな経験はありませんか。

朝起きて、いつもの場所に座る。無意識にスマートフォンを手に取り、気づいたら予定していたことを後回しにしている。

本人は変わりたいと思っているのに、行動が以前と変わらない。ここには、意志の強さだけでは説明できない仕組みがあります。

今回は「習慣」と「環境」の関係を、実際の心理学研究から見ていきます。最後に、私が教えているゴール設定や氣幸の考え方と、どう整理して向き合えばよいのかもお伝えします。

習慣が変わらないのは、なぜなのか

私たちは、毎回すべての行動を一から考えて決めているわけではありません。

例えば、いつもの席に座るとパソコンを開く。食後に同じ場所へ行くと、自然にテレビのリモコンに手が伸びる。そうした行動は、繰り返しの中で身につきます。

心理学者のWendy WoodとDavid Nealは2007年の論文で、習慣が「ある状況」と「そこで繰り返した行動」の結びつきによって形成されるというモデルを示しました。

その結びつきが強くなると、現在の目標を毎回意識しなくても、なじみのある状況が行動を呼び起こします。

つまり、ゴールを決めた直後でも、日常のきっかけが以前のままなら、慣れた行動が出てくることがあるのです。

「自分は意志が弱い」と結論づける前に、何を見たとき、どこにいたとき、どの行動が始まるのかを観察してみると、違うものが見えてきます。

引っ越しが習慣を見直すきっかけになった研究

生活環境が変わると、習慣にも変化が起こるのでしょうか。

Verplankenらが2008年に発表した研究では、大学職員の通勤手段を調べました。最近引っ越した人と、そうでない人を比較したものです。

その結果、環境問題への関心が高い人のうち、最近引っ越した人は、引っ越していない人よりも自動車で通勤する頻度が低いという関連が見られました。

引っ越しによって以前の通勤習慣が続けにくくなり、自分の価値観に沿って選び直す余地が生まれた、と研究者たちは解釈しています。

ただし、これは「引っ越せば誰でも行動が変わる」と証明した実験ではありません。調べたのは通勤という特定の行動です。

それでも、普段の行動が置かれた状況と結びついていることを考えるうえで、興味深い研究だと思います。

横断歩道を歩く人々。生活環境と日常の行動選択を表す写真
生活の変化は、いつもの選択を見直すきっかけにもなります。写真:Mike Watford / Unsplash

習慣づくりに必要な日数は、全員同じではない

「習慣は何日続ければ身につくのですか」と聞かれることがあります。

Lallyらの2010年の研究では、96人が食事や飲み物、身体活動に関する行動を一つ選び、同じ状況で毎日行うようにしました。研究期間は12週間です。

十分なデータが得られたのは82人で、そのうちモデルが適合した人について、行動の自動化が進む速さを分析しています。

自動化の進み方には大きな個人差があり、モデル上で到達水準の95%に達するまでの推定期間は18日から254日まで幅がありました。

「何日で必ず習慣になる」という単純な話ではないわけです。

この研究では、実行する機会を一度逃しても、習慣形成の過程に大きな影響は見られませんでした。

一日できなかったから、すべてが振り出しに戻るわけではありません。私は、この点を知っておくことも大切だと考えています。

行動を変えたいときは、まず「きっかけ」を見つける

では、日常生活では何から始めるとよいのでしょう。

例えば、朝の時間を学びに使いたいのに、ついスマートフォンを見てしまう場合です。

「明日から絶対にスマートフォンを見ない」と気合いを入れるよりも、いつスマートフォンに手が伸びるのかを確認します。

起きてすぐでしょうか。それとも机に座った直後でしょうか。

きっかけがわかったら、その場面で目に入るものを変えてみます。スマートフォンを机から離し、代わりに読みたい本を開いて置いておく。

同じ朝でも、最初に手が届くものが違えば、次の行動を選びやすくなります。

これは氣幸の技術ではなく、行動科学の知見を生活に応用した一例です。大がかりな引っ越しをしなくても、日常の行動のきっかけを見直すことはできます。

習慣は「状況」と「行動」の結びつきで続きやすくなる
いつもの状況
机に座る
目の前にスマートフォン
慣れた行動
無意識に画面を見る
同じ流れを繰り返す
↓ きっかけを見直す
新しく整えた状況
机に本を開いて置く
始めやすい配置にする
繰り返したい行動
まず1ページ読む
同じ状況で繰り返す
図解:情報空間ラボ作成。習慣研究の考え方を生活例で整理したもので、効果を保証する手順ではありません。

環境を整えることと、ゴールを小さくすることは違う

ここで気をつけたいことがあります。

「今の生活でできること」だけを考え続けると、いつの間にかゴールそのものを現状に合わせてしまうことがあります。

私が講座で伝えているのは、現状の外側にゴールを置くという考え方です。

まず未来を決める。その未来から現在を見て、今日の行動を選び直す。

この順番は大切にしてほしいのです。

朝に本を1ページ読むという行動は、ゴールを「本を1ページ読むこと」に縮めるためのものではありません。もっと大きな未来に向かうため、今日の行動の入口を整えているのです。

ゴール設定の考え方を詳しく知りたい方は、現状の外側のゴールとは?未来から考えるゴール設定の具体例と始め方も読んでみてください。

ノートとペンを手にして予定を書き出す人。新しい習慣のきっかけを決めるイメージ
未来から見て、今日の行動の入口を考えてみる。写真:Kelly Sikkema / Unsplash

氣幸でいう「場の移動」は、家具の配置替えではない

「環境が変わると行動が変わる」という話を聞くと、氣幸の「場の移動」と同じことだと思う方もいるでしょう。

ただ、私が教える場の移動は、机の位置を変えたり、気分を切り替えたりすることではありません。

氣幸では、一人ひとりが固有の宇宙を持つ「一人一宇宙」という理論を扱います。宇宙同士は重ならず、一点で接し、その接点が物理空間だと捉えます。

そして、場の移動とは、自分の宇宙にある「次元の階層」を移動することです。

今回紹介した習慣研究は、日常の行動と状況の結びつきを扱う心理学の研究です。氣幸の場の移動を単なる行動習慣の変更として説明することはできません。

二つを混同せずに理解すると、日々の実践で何をしているのかも整理しやすくなります。

一人一宇宙と場の移動については、情報空間の書き換えとは?「一人一宇宙」と「場の移動」の仕組みで詳しく紹介しています。

明日の朝、いつもと違う一歩を選ぶなら

まず、明日の朝の自分を想像してみてください。

起きてから最初の10分、何をしているでしょうか。その時間に、未来のゴールへつながる行動を一つ入れるとしたら、何ができるでしょう。

考えたら、その行動を始めやすいように、今夜のうちに準備しておきます。

明日の自分に期待するだけで終わらず、明日の自分が動き出せる状況をつくっておくのです。

うまくいかなかった日があっても、それを「自分は変われない」という証拠にしないでください。どの場面で以前の習慣が出たのかを確かめれば、次の工夫が見つかります。

ゴールを決めても動けないときの考え方は、実行意図とメンタル・コントラストの記事でも紹介しています。

氣幸や情報空間をこれから学びたい方には、無料の氣幸診断も用意しています。学びたい方向を整理する入口として活用してください^^

参考文献(一次資料)

Verplanken, B., Walker, I., Davis, A., & Jurasek, M. (2008). Context change and travel mode choice: Combining the habit discontinuity and self-activation hypotheses. Journal of Environmental Psychology, 28(2), 121–127. 原著論文

Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009. 原著論文

Wood, W., & Neal, D. T. (2007). A new look at habits and the habit-goal interface. Psychological Review, 114(4), 843–863. 理論論文

アイキャッチ写真:Jexo / Unsplash。本文写真:Mike Watford、Kelly Sikkema / Unsplash。

タイトルとURLをコピーしました